
体の中でも肥満が気になる場所のひとつが太ももです。特に女性は「太ももが太くてスカートを履きたくない」「普通のパンツがまるでスキニーパンツのようになってしまう」といった悩みを抱える人も珍しくないでしょう。
では、そんな気になる太ももの部分痩せについてそのメカニズムから実践方法まで順番に紹介していきます。
そもそも部分痩せは可能なのか?

ダイエットでよく耳にする言葉のひとつが「部分痩せ」です。その名前の通り、体の特定の部位のみ集中的に痩せるというダイエット方法ですが本当に可能なのでしょうか。結論から言うと部分痩せはほぼ不可能です。痩せるということは基本的には脂肪を減らす作業でカロリー制限や有酸素運動で脂肪をエネルギーに変換し減少させていきますが、この時に特定の部位のみの皮下脂肪をターゲットにして燃焼させることはできません。
なお、脂肪の多くついている部分は脂肪燃焼によって細くなりやすかったり、人によっては脂肪が落ちやすい部分とそうでない部分があるなど個人差はあるにせよ、それをコントロールしながらダイエットすることはほぼ不可能です。
ただ、身体の中で唯一、部分痩せが可能なのがお腹周りです。なぜならお腹周りには皮下脂肪だけでなく内臓脂肪も多く、内臓脂肪は皮下脂肪よりも燃焼されやすいのでダイエットに取り組むとまずお腹周りが部分痩せします。
また、太ももに筋肉がつきすぎているという人であればそれまでよりも太ももにかかる運動負荷を減らせば徐々に筋肉量が減少し部分痩せにはなるでしょう。こうした理由が理論上で太ももの部分痩せが理論上ほぼ不可能と言われている根拠になります。
それでも部分痩せがもてはやされる理由
現在では運動や食事による部分痩せは難しいという見方が一般的になってきています。しかし、それでも未だにダイエットについて調べると「部分痩せに効く運動」といった情報が数多く紹介されています。では、これらの情報は嘘なのかというと決してそうではありません。
こうした部分痩せすると謳われるダイエット方法は「実際には痩せているのではなく痩せているように見せる」という効果があるからです。具体的に言うと筋肉は衰えることで弛んだ状態になりますが、運動によって負荷をかけることでその弛みが改善され、周囲にある脂肪も筋肉に引っ張られるように持ち上がるからです。
特にお尻や太ももなど脂肪が重力に負けて下に垂れやすい部分ではこの視覚的な効果が大きいと言えます。また、この引き締め効果というのは筋肉に負荷をかけると早い段階で現れる現象で、筋肉量を増加させるトレーニングよりも手軽という特徴もあります。
この手軽さによって効果を実感しやすいというのが部分痩せダイエットがもてはやされる理由のひとつと考えられます。
基礎代謝から太ももの部分痩せについて考える
ダイエットと言えば有酸素運動で脂肪を燃焼させつつ、新たに脂肪がつかないよう食事制限するという考え方の人も多いですが、これに加えて基礎代謝についても理解しておくことが大切です。基礎代謝とは何も活動しなくても生命を維持するために必要なエネルギーのことで、主に内臓と筋肉によって消費されます。
つまり内臓の働きが低下したり筋肉量が少ないと1日に必要な基礎代謝量が少なく消費カロリーが少なくなります。よく食事制限だけのダイエットはリバウンドしやすいといいますが、これは無理な食事制限により筋肉量が減ってしまい、基礎代謝が落ちることで消費カロリーが減り簡単にカロリーオーバーしてしまうからです。
特に太もも痩せを実践しようとして食事療法のみに頼ってしまうと、太ももは体の中でも大きな筋肉のひとつなので基礎代謝の低下を招きやすいと言えます。ただ、そうは言っても特に女性の中には「筋肉がつきすぎて太ももが太くなっては困る」という人もいるでしょう。
しかし心配はいりません。ボディビルダーやスポーツ選手が厳しいトレーニングをしているのを見ればわかるように筋肉はそれほど簡単につくものではありませんし、筋肉がつきすぎるほどトレーニングをしたならばその過程ですでに太もも痩せが実現できているはずです。
実際に太もも痩せを実現させるためには?
ここまでの説明で部分痩せは引き締め効果によるところが大きく、長期的な視線で見た時には基礎代謝を下げる原因となる筋力の低下をさけつつ脂肪を燃焼させることが太もも痩せに効果的ということがわかりました。では具体的に何をすればよいのかと言うことになると、答えは月並みになってしまいますが「筋トレによる引き締めと筋力アップ」「有酸素運動による脂肪燃焼」「食事制限によるカロリーや糖質の制限」がベースとなります。
ただ痩せるという基本的なメカニズムを覚えておくと盲目的にいろいろなダイエット方法に手を出さなくてよいというメリットがあります。
太もも痩せの基本となるのは食事制限
食事制限だけによる太もも痩せはリバウンドの確率が高くなりますが、それでもやはり基本となるのは食事制限です。過度な食事制限はすぐに挫折してしまう原因になるので、まずは現在の食事の2割程度を減らすことを目安にします。
最初から厳密にカロリー計算をすると面倒だと感じることもあるので、まずは単純に食事量を2割ほど減らしてみましょう。そして2週間が経過したら更に1割程度減らしていき体重が安定的に減少し、自分の理想体重がキープできるようになったらそれ以上、摂取カロリーを減らすのを辞めましょう。
また、この過程において徐々に太りやすい食品などの知識をつけながら食事内容も工夫していきます。また、カロリーと同様に気をつけなければいけないのが糖質です。糖質は大量に摂取すると摂取後に血糖値が跳ねあがります。
血糖値が跳ねあがったままだと血管を傷つけるなど身体に悪影響を及ぼすのでインシュリンが糖を細胞内に取り込みます。そして取り込まれた糖が多いと脂肪となって身体に蓄積されます。これが糖によって太るメカニズムですが、糖は体にとって必要なエネルギーでもあるのである程度、摂取した方が良いです。
また、血糖値の上昇を抑えるには食事の際に、まず糖を含まないものから食べることも大切です。
有酸素運動と筋トレをバランスよく組み合わせよう
太もも痩せを実践するためには有酸素運動と筋トレを組み合わせることが大切です。まず、筋トレから見てみるとまずはスクワットなどで太ももの筋肉に刺激を与えることで引き締め効果を狙います。ただ、同じ負荷で筋トレを続けていても慣れてしまうと筋肉に負荷がかからず効果がなくなるので徐々に回数を増やしましょう。
また、先に説明した通り基礎代謝の観点から見ると太ももだけでなく全身の筋肉を鍛えることが脂肪燃焼に効果的なので腹筋運動、背筋運動、腕立て伏せなど太もも以外にも大きな筋肉に効果的な筋トレを行うようにしましょう。
なお、人の身体は各部位ごとに様々な筋肉で構成されていて同じ運動ばかりだと隅々まで鍛えることが難しいため、同じ腹筋運動であっても様々なバリエーションの動きを取り入れることがポイントです。次に有酸素運動ですが、そのカロリー消費量は1時間ほど軽いジョギングを行った場合、およそ400kcalとなります。
なお、体重1kgを減らすためにはおよそ7000kcalが必要です。こうして見ると有酸素運動は太もも痩せには効果がなさそうですが、息が上がらない程度で長時間有酸素運動を継続することで塵も積もれば山となります。
また、筋トレは毎日行うと十分な回復ができず効果が半減しますので、筋トレを休む日に有酸素運動を組み合わせると効率的です。
体重に惑わされずに太もも痩せを継続しよう
せっかく太もも痩せを実践してみたけれど思うように体重が減らないということもあります。中にはダイエットの停滞期と呼ばれるもので一時的に運動や食事制限によるダイエット効果が出にくくなる現象も起きます。ですが、体重が減らないからといって痩せていないとは言い切れません。
なぜなら脂肪と筋肉は同じ重さでも筋肉の方が20%ほど容量が小さいからです。つまり体重は一緒でも脂肪が取れて筋肉がつけばその分だけ細くなると言えます。そのため、体重計だけでなく数日に1度同じ条件で鏡の前でスマホを使って自撮りするなどし、見た目を比較するのも太もも痩せのためには大切なポイントです。